滝川穂乃果

By 2020年3月6日10月 8th, 2020撮影後記

大きな間違いをしてしまった。モデルさんのサイズを間違えた。11号を7号と勘違いをして衣装を買い求めてしまった。それでも無理をしてきていただくと、元がFサイズであったためになんとか着ることができた。この歳で女物の洋服を買うのはなんとも気恥ずかしい。


選んでワンピースを広げているとなんとなく周囲の視線を肩に感じる。私が使うのではなく仕事で着せるのですと背後に看板を出したいほどである。レジへ行けば、プレゼントですかと問う。なんで俺がこんな安物をプレゼントに使うかと腹立たしい気持ちでお金を取り出す。とかく我々の仕事を羨む人がいるが、こんな苦労もあるのです。
メイクを終えた瀧川は唇を真っ赤に塗り野性味をました。少し違和感があったが髪を乱してみるとエキセントリックな東洋の美女が見えた。これはいけると撮影をONに入れる。快調なペースで撮影が進む。だがこの人は縄の産む表現を抑えている。僅かに見せるのではあるが抑えている。この疑問は最後のカットで知ることが出来るのである。
後半に瀧川は片足立ちで吊り縄に重心をかけてぐらりと体勢を崩した。形のいいお椀型の乳とポッコリお腹にどう縄が食い込んだ。肉に食い込んだ縄が醜く肉の隆起を見せる、キラキラと肉の隆起が光る。形のいい乳と醜い肉の競演だ。美と醜の結合から生まれる美。それこそが緊縛の醍醐味ではないだろうか。美しい体には縄はほんの僅かで美はたつ。醜は縄が 美を造る。これこそが日本人の体型に似合う緊縛の美ではないだろうか。西欧人の彫刻的なプロポーションにどうしても縄の作る美を感じないのはそんなせいだと思う。

滝沢さんは野性的な顔立ちであるがとてもナイーブな方でした。「撮影終了」と声がかかるとポロリと涙がこぼれた。俺はそれをこの場を終える涙。離れる寂しさと受け取ったが。周りは辛さからの解放ととったようで慌てたが。滝沢に聞けば「やり切れた安堵感」という。人は見かけによらないものだ。

文 杉浦則夫

見事な美乳に二人のエンジンがON

几帳面な奈加さん胴縄の緩みが気にかかり固く結んだ縄を再度調整する。滝沢さんは縄が揺れるたびにまた縄のスレを気にして尻の肉を揺らす

男二人は大陰唇をクリップで広げて、ここぞ我らの芸とばかり「ここは痛くはないか、ここまではどうだ』といつもの真剣な大人の遊び

撮影終了。突然に滝沢は泣き崩れる。奈加さんはなだめます。だが彼女の涙は彼らの心配とは全くの反対。この撮影の充実感に満たされた涙であった。

やり切れた自分を解放した涙であった。

撮影:杉浦則夫 緊縛:奈加あきら 助演:河辺匠 制作:杉浦則夫写真事務所
掲載開始日 2020.3.5・12 掲載終了 2020.4.9

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