先日に縄の考察の会を開いた。俺は商業緊縛を続けてきた。読者に支えられながら今日まで撮影を続けることができたのには感謝している。だが終末が近づくと何かしら得体の知れない緊縛亡霊が現れている。
それはドンキホーテのセルバンチェスが風車を見て巨人と思い挑みかかった様なものに似ているかも知れない。あるいは江戸川乱歩の鏡部屋の中にいる俺かも知れない。虚像の裏側にいる俺を探して扉を開こうともがいているのかも知れない。様式美の世界を越えようとは無謀なことだとその会を終えての感想であった。
さてと市川ななみ娘。市川さんは子供時代から芸能界にいたと言うだけに仕種を組み立てるのが上手かった。開け放たれた室内に初夏の光が庭からさしていた。その光の中をななみは背中を竹できつく責められながら辛さを逃れようと下半身を無防備にして喘ぐ。激しい抵抗がななみの情感を麻痺させたのか無意識の体の動きに俺は心をつなぐ。画伯は逆さ1本吊のななみを肴に昼間から酒を喰らう。猿轡からななみの喘ぎが漏れる。耳障りな喘ぎが酒をまずくするとばかりに口封じの酒を垂らして死の水責めの折檻を始める。ななみの呼吸は酒気と湿気で朦朧として果てるのであった。ラストシーンでなぜ俺は赤い糸を股間に結んだのかは不思議である。だが赤い糸が俺には見えた。
杉浦則夫
撮影:杉浦則夫 緊縛:奈加あきら 助演:鏡堂みやび 制作:杉浦則夫写真事務所
掲載開始日 2024.6.6・13 掲載終了 2024.7.11
注意:
月額会員サイト「杉浦則夫緊縛桟敷」でのダウンロード作品の掲載期間は四週間です。
掲載終了後は姉妹サイト「緊縛桟敷キネマ館」にて販売される予定となっております。※販売時期は当分先になります。
リンク:緊縛桟敷キネマ館 →