黒井しろ

By 2022年9月8日撮影後記

シロちゃんとの最初の撮影は我が社のイベント雲海塾であった。すでに5年が過ぎた。薄い桜色の襦袢を羽織ったシロは桃の香りをたたえた少女であった。この頃の少女はもっとも多くの経験と知識を得る時期である。


彼女から突然に桟敷の撮影を依頼してきたのには少し驚いた、メールには最近の写真が添えてある、なんだか様子が違っている。桟敷の撮影ではローソク、バイブなどを使用するが出来ますかと質問すれば全て任せますと言う。

撮影は自虐の少女期を写し、5年後にSNSで知り合った緊縛好事家の家を訪問することから始める。和服姿のシロには少女の姿はない、すでに20代半ばならば当然なことだ。以前の撮影ではシロとの撮影距離(感情的な)が離れていたが今回は彼女の感情を汲み取ることに専念する。以前の少女の虚な眼差しがどこか険しい眼差しに変わっている。拘束されれば縄に溶け込むように姿を変える。カメラに向かって挑むような表情だ。誰かが彼女に緊縛の道を教え込んだのであろうかと推測する。なんだか未知のシロを見つけた多様な不安と期待な撮影であった。

文:杉浦則夫

撮影:杉浦則夫 緊縛:HajimeKinoko 助演:鏡堂みやび 制作:杉浦則夫写真事務所
掲載開始日 2022.9.1・8 掲載終了 2022.10.13

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