美月

By 2017年8月10日撮影後記

蚊帳を蓬莱がネットで手に入れて貸してくれた。若者に蚊帳を吊らしてみると裾が畳から浮くぐらいにして吊っている、これでは蚊の入り口を作っているようなものだ。


歌麿が春信が描いた艶かしい閨房の美人画を見ていないのでしょうか。わが美月を蚊帳をすかして乱れているのをみると艶かしさが見えてくる。蚊帳の鼻をつく匂いが何かしら乱れた記憶を思い起こすのだろうか。蚊帳の折檻ならばお灸でしょうと、若者に生姜灸を用意させると、ぶあつく切った大きな生姜の上に小さなもぐさをもって出された。我々が過去に作った画像は若者の目にはとまっていないらしい。
美月の見事な大きな尻から立ち上る煙はいっぷくの枕絵であった。この日もスタジオは猛暑だ。地方では縄の拘束をうけるのは叶わず、今日の日を楽しみにして出て来ただけに美月はいたって元気。重い身体を足首に縄かけした逆さ吊りに気をいかせるようにしている。AV女優さんのような表情を求めても無理だ。この女たちは縄が好きなのです、縄のつらさに酔いたいのです。

文 杉浦則夫
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