
つぶやき
緊縛において人気というものは恐ろしいものだ。緊縛の価値観は自己の好みと同じように作られたものに同調するために人気がますます本道とはき違えられる。果たして緊縛の本道とは何処にあるのかを俺は探し迷うのであるが。
1日の撮影で一枚でもそれに近い写真を求めて入る。先日ミラノから緊縛愛好家が来日して日本家屋で3日間の写真講座を開いた。彼らの縄には深い探究心と情熱を持ち日本の緊縛師と遜色がないが残念なことには日本の緊縛のコピーしか知らない。俺はかねがね日本の縄を土台にした西欧の緊縛を作るのがいいと伝えている。そこで今回は縄の発見をテーマにした。縄を解き完成を壊した時点から再生を試みたが理解されたかは疑問ではある。人気が緊縛世相さえも作ってしまう風俗文化ならば諦めるしかない。
本作の物語
ジュンは10年来師時している古美術の高名な鑑定士の元を2ヶ月ぶりに尋ねるのであった。この鑑定士の経堂氏は闇の世界でも多くの女を調教師した凄ものである。一方ジュンは美術大学を優秀な成績で卒業した、彼女の描く日本画は暗黒の世界を彷徨うばかりの絵画であった。そのような表現の闇がもたらす魑魅魍魎の胞子に犯されて精神を侵されてしまった。やむなく生活のために経堂みやび氏も元を尋ねたのである。手に持つ掛け軸は知人から鑑定を頼まれた土佐派の鷺図である。久しぶりに訪れたジュンを歓待する経堂氏。さっそく鷺図の鑑定にかかるのであるが恩師は一目で贋作と見破る。なかなか真贋の目が育たない弟子に怒りネチネチと女の愚かさを罵倒する。真を知るには苦しみを知ることだと訳のわからない講釈を叩きつける。泣き崩れるジュンを置き去りに不機嫌な経堂。今日の鑑定量を体で払ってもらうと闇の経堂が現れる。
撮影後記
今回はミラノで幽玄スタジオを運営するフェデリコ氏が緊縛師であった。彼は欧州に大陸に多くの生徒を持ち縄の講習をしている経歴である。ジュンをそんな人と組み合わせたならば何らかの変化が生まれるのではないかとした企画であった。俺が英会話ができないから翻訳女史をつけた。また、彼の助手はマルタという欧州では人気の受け手である。
さて撮影が始まった。ジュンの和服姿は6年ぶりほどである。和服、寝巻き、戦中のモンペ姿などの過去がある。どの映像も彼女の清楚なすがたに究極の縄に寄り添う女の姿が見える。欧州では縄をきつく縛る優しく縛るをハードとソフトというらしい。彼からどちらにするのかと聞かれてハードを選ぶ。胸縄に指を入れてみたが固くしまって入る隙間がない。濡木氏は指が入るほどの縄を理想と言っていたが、、、、。和服姿の艶を求めて襟足に白い足袋からのぞく足首にと展開することが出来るのは清楚な女にこそ見える。先日に葛飾北斎の描く女にそんな足首に魅入ったばかりだそれをコピーする。その様な会話をしながらの撮影であった。帰りは居酒屋での飲み会。ジュンは日本酒の酒豪である。
杉浦則夫
撮影:杉浦則夫 緊縛:FedericoKirigami 助演:鏡堂みやび 制作:杉浦則夫写真事務所
掲載開始日 2025.5.1・8 掲載終了 2025.6.12
注意:
月額会員サイト「杉浦則夫緊縛桟敷」でのダウンロード作品の掲載期間は四週間です。
掲載終了後は姉妹サイト「緊縛桟敷キネマ館」にて販売される予定となっております。※販売時期は当分先になります。
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