泣き虫

By 2017年7月1日緊縛コラム

ラブホのサービスタイムが終わるのが20時、撮影を終えるのが19時頃ときに30ほど過ぎてしまう事がある、慌てて機材をかたずけて、シャワーを浴び、時計は19’50を指している、1秒でも過ぎると延長料金を支払ってくださいと入り口のおねいさんにおどかされている。

美帆はまだ裸のままだ、今日の最後の6分30秒のsexにいどみかかる。慌ただしいが意外とスリルがあって充実する。それは3年も前の話。今はそんなスリルからはほど遠い。汗ばみながら館外にでると、若い男達が女の客を漁っている風景に出会う。あ、あ、君たち大変だなアーと思いつつ眺めていると、先ほどのsexに不満なのか今日の縛りに感じいるものがなかったのか美帆の愚痴が始まる。俺はライトスタンドを入れたバックを肩にして、縄とライトと小道具を入れた壊れかけて輪が回らないキャリーを引きずって新宿駅にむかう。途中に最近に見つけた美帆の気に入りのキリンビヤホールがある。ビールを飲ませれば機嫌をよくしている美帆ではあるが、時がたつと桟敷で撮影をした女に嫉妬をむけてくる、自分とその女の価値を決めろと迫ってくる。あげくのはてに涙をこぼしてナプキンを使い始める。店の女の子がけげんそうに見つめてくる。確かにおっさんが若い女を泣かせている風景はどうみてもパワハラである。俺は見つめる店員に説明したい、俺がパワハラにあっているのだと。そのわりに火曜日になると毎回現れる二人に慣れたのか店員も興味を失ってしまう。

4年前の2月であった。美帆は仕事を終えると必ずメールをしてくるのであるが今夜はこない、夜のメールの時間はほとんど仕事を中止しなければならないから、さばさばした気分でパソコンにむかっていた。それが3日つづいた。不安になりメールをしても返信がない、電話にも出ない。まさか俺を拒否しているのかと嫉妬する。
こんなことは美帆ではありえない、自動車事故をおこしたかと心配になってくる。7日目についに美帆の実家に電話をしてしまうと、くも膜下出血で緊急入院をし集中治療を受けていると知らされる。生死をさまよったが今は落ち着いたということでした。こんなことがあいつに起こるならばあいつの望みの刑罰の一つも体験させておけばよかった、関節が外れるぐらいに縛ってほっておいてくれ、吊りの出来る所で撮影をしてくれとうるさく云っていたのを叶えてやるべきだったと後悔するばかりで。二人でたびたび過ごした喫茶店で見舞いにさえも行けない寂しさを過ごしたが1月ほど経って見舞いの許可がとれた。あの黒髪は望むべきもないと覚悟していたが。面会室の美帆には長い黒髪が寝間着の上にたれていた。退院するとすぐに俺の事務所に来て縛れと偉そうにする。確かに生死をさまよった相手だから俺よりは偉い。興奮させると血圧が上がるのではないかと心配して手首ばかりを縛ってごまかしていたが本人は納得しない。そんな撮影を3.4回繰り返すと安心感ができてついつい吊りまでしてしまう始末。この時の写真に残る美帆は俗界の汚れを落とした無垢な姿が残っている。そんな写真を撮れたことに感謝をしている。

1件のコメント

  • キャリア35年+α より:

    美帆さんが倒れたと知った時は、私も本当に心配しました。
    無事退院したと聞いた時も、心から良かったと思うと同時に、もう2度とモデルとして活躍する美帆さんを見る機会はないのだろうと、寂しく思ったものです。
    しかし私の貧困な想像などどこ吹く風、黒髪の会お礼の扉写真のごとく、逆さ吊りまでの大復活。
    超人的な生命力に、やはり本物の女性は違う、あちこちガタがき始めた我が身に見習わせたいものだと感じ入りました。

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杉浦則夫緊縛桟敷(年齢認証)

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